「食育」という言葉は国語辞典に載っていない(少なくとも私の家にある2005年1月発行の国語辞典にはない)。ではつい最近開発された言葉かというと、そういうわけでもなく、その語源を探っていくと、明治時代の医師・石塚左玄にたどり着きます。つまり「食育」はこの石塚左玄の造語なのです。
石塚左玄は、1851(嘉永四)年に福井県福井市に生まれ、医師・薬剤師として活躍。その後、食医・食養家としても知られる存在になりました。当時の日本の食事情ーーー文明開化によって食や食文化が洋風化されていくことを危惧した石塚は、1898年(明治31年)、日本人に最も適した食、保健衛生、医学、教育などについて書いた「通俗食物養生法」という本を出版。食の重要性と食による健康づくりを提唱して、それを実践するために診療所も開設したそうです。
「食物養生法」の中でとりわけ注目されたのは、”家庭での食育が最も大切である”と言っている部分です。
『学童を有する民は……体育、智育、才育は即ち食育なりと観念せざるべけんや』
『神様と思われん人つくるには親の親より食を正して』
と書き、子どもに対して親が家庭の食生活で果たすべき役割を説いています。これが100年以上の時間をワープし、2005年に制定された食育基本法に繋がるのでね。